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分からずじまいで世界は終わる。
これで良いのだろうか?
いや、良いも悪いもないのだろう。
沈んだ感情は心を摩耗させる。
僕はどんよりとした思想を頭を振って霧散させ、教室の扉を開いた。
「おお!ガリ勉!来たじゃん!」
教室の中には一人の女子生徒。
髪を染め上げ、制服を汚く着こなしたその姿は紛れもなく不良のそれ。
「そっちもね。最終日だけどいいの?」
「言ったろ?これまで勝手気ままにやってきたから罪滅ぼしだよ。最後くらい真面目に学生やらねーとな」
「そう。えらいね」
彼女はもともとほとんど学校に来ていなかったが、最後の最後くらい更生したいらしい。
誰もいない学校を見て愕然としていた所、後からやってきた僕が犠牲者となった。
彼女は勉強を教えてくれと僕にせがみ、僕も僕でやることもないから教師を引き受けることとなった。
「それで?今日も授業するの?」
「そうしたいんだけどよ。今日で死ぬかと思うとなんだかやる気が起きなくてな」
彼女は努めて気丈に振る舞っていたが、肩が少しだけ震えている。
「怖いの?」
「怖いって、何が?」
「死ぬのが」
「あ!?怖いわけねーだろ!バカにすんな!」
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