第二話

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それはあまりにも簡単なことだ。 押すだけで世界は変わる。灰の山を見て、すべてを壊して、世界で一番幸せになれる気がする。 康介は今、赤の凹凸に指の腹をあてている。麻布十番駅近郊のコインパーキング 郵便ポスト 駅構内と合わせて30箇所。使用するのはM-73型より小規模爆破区域のM-48型。どちらも工作員時代に極秘の資料室から取り得た知恵で作られた。 やがて腹をぐっと押し込むと、あっという間にコインパーキングから一個目の煙があがった。距離は五キロ圏内だが、そこまで爆発音はしない。続けて二個目の爆破はコンビニ前の郵便ポストで発生した。破裂した破片が通行人を襲い、路上に転がる人の姿もある。 最後の手動爆弾はバス停のベンチ裏に設置されている。バスの運休時間までには早く、飾りのように単体で爆発し 煙をあげた。
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