61人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
「瑠璃、おはようー!」
「おはよう」
挨拶を交わしてるうちに、次々と登校してくる生徒で一気に教室が賑やかになった。
さっきの出来事が、まるで無かったかのように……
私は、握った掌を緩めてそっと開く。
そこに、直径5mmほどの宇宙が、確かにある。
そして、今は隠れている深空くんの左耳にも。
『似合いそうだから、あんたも』
深空くんの言葉が、頭のなかでリフレインする。
ぎゅーっと胸の奥が熱くなる。
「参ったな……」
誰にも聞こえないように、
小さな呟きを溢した。
この気持ちが何なのか、
……私はもう気づいてしまった。
生まれたばかりのフワフワした感情も一緒に、
今度は優しく、
キュッと掌を握りしめた。
最初のコメントを投稿しよう!