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「あ…………無くしたと思ってた。」
ありがとう、と呟くと、深空くんは私の手の中からピアスを掬い上げた。
「すごく綺麗な石だね。宇宙から見た星空みたいな」
「……宇宙から星空見たことあるの」
「なっ、無いけど!想像……!」
ふ、とまた深空くんが小さく笑う。
口元に拳をあてて控えめに笑う姿が眩しくて、
ほんの数秒釘付けになる。
「……これ、ラピスラズリっていう名前の石」
「ラピスラズリ……?」
「俺も、宇宙っぽいなって思ってた」
そう言うと深空くんは、
手に持っていたピアスの片割れを朝日に透かした。
まだ早朝なのに、
そこだけ小さな小さな夜の星空で。
それを深空くんと私の二人だけが見ていると思うと、
何だかむず痒いような落ち着かない気持ちになった。
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