ここはどこ、わたしはだれ

1/1
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ

ここはどこ、わたしはだれ

太陽が真上から地面を照らす。 街の景色が次々と変わっていく。 下町の景色、水路に浮かぶ屋形船、平屋の一軒家。 大型スーパー、川沿いのマンション。 空を覆い尽くす巨大なビル群、自転車よりにも整備されている道路、スーツ姿の人の群れ。 今は、周囲には畑が広がっている。 鼻をつく堆肥の臭い。 雑木林の湿気。 すれ違う軽トラの排気ガスに咽せる。 何度目かの外れたチェーン直し。手が油まみれになる。 真っ黒な手で汗を拭い、再び自転車に乗る。 山道に入ると人の気配がなくなった。 誰ともすれ違うことなく山の中を進んでいく。 このまま何処へ行くのだろう。 とりあえず今日は行けるところまで行ってみようと思う。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!