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非日常の空間
額に浮いた汗を拭う。
ネットで下見した通りの道のりで会社のあるオフィス街まで自転車でたどり着いた。
(これなら通勤に使えるな)
2時間ばかりかかってしまうが、満員電車でストレスを抱えたまま仕事するよりましだ。
明日の通勤時間が楽しみである。
「しかし、本当に誰もいないな」
日曜日のオフィス街は非日常の空間である。人はまばらどころか周囲には自分以外に誰もいない。
車でさえ通ることはないこの街も明日には人で溢れかえる。
自分もその中の一人になるのだが、この街がいつもの見慣れたものとは全く違って見える。
無人の道路を走る。
法を無視して真ん中を走る。
どこまでも車の来る気配はない。
やがて大通りの交差点を通過すると日曜日の買い物をしている人々が現れ、駅前まで来ると歩道は人でいっぱいになった。
二つの川を越え、見慣れた風景が見えてくる。
往復しても身体にはそれほど疲れがない、これなら明日からも大丈夫そうだ。
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