カメレオン男

2/12
871人が本棚に入れています
本棚に追加
/352ページ
自分の恋心が向かう先が、皆と違うんだって気付いた時、急にそれまでの色んな事がスッキリしたって言うか、不思議と悩んだりはしなかった。 常識的に考えて、僕の恋は叶うことがないんだ…と思ってた。 だから、好きになった人と付き合いたいとか、エッチな事とかしたいなんて、思ったりはしない。 なんて…それは嘘。 出来れば僕を好きになって欲しいし、出来れば好きになった相手と、シタイ。 でも、気持ちを知られて嫌われるのは嫌だし、拒絶される事は怖い。 気付けばいつの間にか、カメレオンのように、相手に合わせて振る舞い、好かれなくても嫌われないように。 ずっと、ずっと、そうして来た。 気付けば三十代後半。 当然色々と経験はある。 それなりの場所で、それなりの相手と出会って、心の無いまま、身体を繋げ、お互いの欲望をぶつけ合ってきた。 そこでは、自分を隠す必要はないし、まぁ、相性の良い悪いはあるにしても、そうでもしなきゃ、相手なんていないワケだし。
/352ページ

最初のコメントを投稿しよう!