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裏口から外に出ると、楽しそうに人々が通り過ぎていく。
それをぼんやり眺めて、人混みの中にあの人がいないか探した。
さすがにそんな偶然はなくて、ポケットに手を入れて鍵を掴んだ。
居酒屋で見た笑顔を思い出しながら、考えていた。
意識してもらうにはどうしたらいい?
若く見えるけど、年は…いくつなんだろう。
考えるだけで笑みがこぼれた。
「そうだ、帰って調べよう。」
呟いて原付にまたがり、家路を急いだ。
男同士のそれについて、知らなすぎる。
彼を抱くのか、彼に抱かれるのか、どっちでもよかった。
今まで付き合った女の子に対して、思った事のない感情が溢れていた。
好きだから触れたい。
大切にしたい、何でもしてあげたい。相手を喜ばせたい。
そう思った事なら何度もある。
こんな風に自分から欲したのは、彼が初めてだった。
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