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迷っているのだろうか、それとも断る口実を探しているのだろうか…。
どちらとも取れない表情を浮かべ、彼は唇を噛んでいる。
「陸!オーダー。」
店長に呼ばれ、仕方なく彼の元を離れた。
彼を盗み見ると、ホッとしたようにビールを飲み始め、いつもより早いピッチでグラスの中身は減っていく。
いつも通りなら、あのグラスが空になると彼は帰ってしまう。
…今夜は?…
気が気じゃないが、彼の傍に張り付いているワケにもいかず、カクテルの準備を始めた。
週末のわりに客足は伸びない。
印の付いたコースターを取り上げたから、彼の隣に座る人は現れないと思っていた。
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