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「ねぇ、ココ、いい?」
急に隣から声がして顔を向けると、小柄で柔らかい顔立ちの少年が立っていた。
訊ねておきながら、返事を待たずに彼は座り、僕を見て微笑んだ。
「今日は誰かと待ち合わせなの?」
僕のコースターを指差して、小首を傾げる。
ドキリとして、書かれた文字を隠して目を逸らした。
「マーカー引いてないからさ。
お兄さんも、この店長いよね。
ねぇ、もう帰っちゃう?少しだけ話さない?」
…話すって…何を?そう思い顔を向けると、愛らしく笑っているのに、どこか厳しい目で僕を真っ直ぐに見た。
「僕ね、マオって言うの。お兄さんは?」
有無を言わせない口調に「要。」と、呟くように答えた。
「要さんかぁ。
要さん、さっき陸と話してたよね?
仲良いの?」
「いや、彼とは今日初めて話したよ。」
「ふぅん…。じゃあさ、要さんは、陸の事を狙ってる、ってワケじゃないんだよね?」
「え?あぁ…うん、そうだね。」
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