愛情モンスター

追う者と追われる者

「彼と僕じゃ、歳が離れすぎてるよ。」

自分に言い聞かせるように言った台詞が、やけに尖って胸に刺さった。

「陸はさぁ、誰の誘いも受けないんだよね。
ここでバイトしてるけど、本人はノンケなんだって。
でもさぁ、どうにかならないかなって思って、何度も声かけるんだけど、全然相手にしてもらえないの。
だから、要さんと話してるの見て、僕、焦っちゃった！」

やっぱり、からかわれていたんだ…と、少し残念に思っている自分が可笑しくて笑った。

グラスのビールを飲み干して、帰ろうとすると、マオ君に袖を捕まれた。

「もう少し居てよ。
さっきから陸がこっち見てるの。
僕の事、少しは気にしてくれてるのかな？」

マオ君の視線に釣られて彼の方を見ると、確かにこちらを見ている。
気のせい？視線がぶつかり、そのまま目を逸らすことができない。

そのまま静かに席に着いて「じゃあ、あと一杯だけ。」と、店に留まる事を決めた。

マオ君はコロコロと表情を変えながら、楽しそうに彼の話を聞かせてくれる。