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「マオ、あの人は?」
「やっぱり帰るって。
ねぇ、陸?どういう事?いつの間にそんな事になってるのさ。」
腕を絡めてくるマオをそっと突き放して、テーブルに伏せて置かれたままのコースターを見た。
…連絡取る気もないって事?
諦めきれない俺は、コースターを掴むと急いで店の外に出た。
そう遠くへは行ってないだろう。
駅へ向かいなから、辺りを見渡した。
数日前の夜を思い出していた。
あの時もこうして、どこにいるかわからないあの人を探していた。
自分のものにしたい一心で、追いかけているけれど、彼にとって迷惑でしかないのだろうか。
想いを伝えることさえ拒まれるのか?
これまでに感じたことのない不安。
それと同時に、諦めきれない想い。
ふたつの感情が混ざりあって、泣きそうになった。
俺は…この出会いが運命だと信じたい。
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