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頭がこんがらがったまま家に戻り、ベッドに倒れ込んだ。
目を閉じると、笑いかける優しい顔が浮かぶ。
「櫛田…陸…」
名前を呟いて、ざわざわとする気持ちに理由を付けて、それを否定しようとするけれど、上手くいかない。
あの手で触れられたら…あの唇が…僕に…。
不釣り合いだとわかっているのに、浅ましい妄想が消えない。
触れられた手の甲に唇を押し当て、吐息をもらした。
想像の中の彼は、引き締まった逞しい身体をしていた。
繊細な指で僕のボタンに手をかけて、ひとつひとつ丁寧に外していく。
露になった肌を撫で、肩に胸にキスをして…。
しなる僕の身体をほどいていく。
だらしなく身悶える僕は、早く…と懇願し、彼にしがみついて下半身を押し付ける。
腰を揺らして擦り付け、お互いの熱を確かめると、頬を寄せ唇が重なる。
僕は、彼の下着に手を差し入れ、滾る欲望を掴み、激しく擦り上げて口に含む。
彼は小さく喘ぎ、僕の髪を掴むと喉の奥まで捩じ込んだ。僕はそれを受け入れるべく、舌を絡め這わせる。
もっと別の奥の深いところで繋がりたくて、自らの手で彼を招き、彼の上で揺れる。
すぐに身体を返され、勢いまかせに激しく打ち付けられる。意識が飛びそうな感覚に身を委ねている。
若く熱い飛沫を奥に感じながら、僕も絶頂を迎え、彼の上に倒れこむように果てた。
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