コイゴコロ

2/14
872人が本棚に入れています
本棚に追加
/352ページ
頭がこんがらがったまま家に戻り、ベッドに倒れ込んだ。 目を閉じると、笑いかける優しい顔が浮かぶ。 「櫛田…陸…」 名前を呟いて、ざわざわとする気持ちに理由を付けて、それを否定しようとするけれど、上手くいかない。 あの手で触れられたら…あの唇が…僕に…。 不釣り合いだとわかっているのに、浅ましい妄想が消えない。 触れられた手の甲に唇を押し当て、吐息をもらした。 想像の中の彼は、引き締まった逞しい身体をしていた。 繊細な指で僕のボタンに手をかけて、ひとつひとつ丁寧に外していく。 露になった肌を撫で、肩に胸にキスをして…。 しなる僕の身体をほどいていく。 だらしなく身悶える僕は、早く…と懇願し、彼にしがみついて下半身を押し付ける。 腰を揺らして擦り付け、お互いの熱を確かめると、頬を寄せ唇が重なる。 僕は、彼の下着に手を差し入れ、滾る欲望を掴み、激しく擦り上げて口に含む。 彼は小さく喘ぎ、僕の髪を掴むと喉の奥まで捩じ込んだ。僕はそれを受け入れるべく、舌を絡め這わせる。 もっと別の奥の深いところで繋がりたくて、自らの手で彼を招き、彼の上で揺れる。 すぐに身体を返され、勢いまかせに激しく打ち付けられる。意識が飛びそうな感覚に身を委ねている。 若く熱い飛沫を奥に感じながら、僕も絶頂を迎え、彼の上に倒れこむように果てた。
/352ページ

最初のコメントを投稿しよう!