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「俺と、付き合って下さい。」
黙ったまま俯いていた彼が、驚いた顔で俺を見た。
「好きです。付き合って下さい。」
テーブルに付きそうなくらい頭を下げてると「ちょっと!そんな、やめてよ。」と、彼の指が俺の肩に触れた。
その指先を握って彼を見た。
「貴方を…知りたい。知って欲しい、俺の事を。
少しずつで良いんです。
傍にいて、好きになって…。
ダメですか?」
彼は動かず固まったようになり、答えを探しているようだった。
「君は…僕とは違うよね?
だって、今まで普通に…女の子と付き合って来たんでしょう?」
諭すような口調で、彼は話し始めた。
視線をそっと手元に向け、優しく指をほどいて、俺の手の中から逃げ出した。
「きっとさ、ああいう店で仕事して、そういうのを見て、少し興味が湧いただけじゃないかな?
ねぇ、男同士って、どんな事してるか、知ってるの?」
「知ってます!経験はないけど…。知識として、なら…少しだけ。」
「そう。でもね、やめた方がいい。」
何故だろう。断られているのに、そんな気がちっともしない。
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