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俺を見る彼の目の奥に、何か熱っぽいものを感じる。
俺の前で彼は、困った顔と、淋しそうな顔しかしない。
それでいて、嫌がっている様子はない。
「でも…好きなんです。こんな風に…自分から誰かを求めるのは初めてで、ごめんなさい。
貴方は、興味って言ったけど、それは貴方に対してであって、恋愛の形やセックスの事だけじゃない。
貴方に笑いかけて欲しいし、必要とされたい。
俺じゃ、ダメですか?」
やっぱり彼は、困ったような顔をする。
だけど、口元は少しだけ綻んでいた。
「それじゃ…君が飽きるまで、それでいい?
僕は君が思い描くような人とは違うかも知れないよ?
それに君から見たら、僕はもうおじさんだ。
それでも良いの?」
つれない態度を取りながら、少しだけ頬が赤いのは見逃さない。
もっと、本当の彼を知っていきたい。
「もちろんです!貴方じゃなきゃ、嫌なんです。」
手を取って見つめると、綺麗に微笑み返されて、鼓動が跳ねた。
「それじゃあ、よろしくね、櫛田…陸君。」
「こちらこそ!ずっと、大切にします!約束します!
えっと…あの…。
名前…教えてもらえますか?」
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