青世界の上條ミキル

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 そんな生活を迎えて、最初の月曜日がやってきた。  雨は今日も降っている。  放課後、僕は下駄箱の前で所在なげにしていた上條に声をかけた。 「じゃあ、今日は二丁目の角の水溜まりで待ち合わせしよう」 「分かった。後から行くから」  妙な噂を立てられないように、僕らはそうして場所を指定して落ち合っていた。上條は携帯電話を持ってはいるのだが、アプリやメールの操作がうまくできないからだ。  そうして僕は、一足早く目的の水溜まりにたどりついた。傘の曲面に沿って落ちる雨粒を目で追いながら、すでにいくつか当たっていた子猫の引き取り先候補と、これから当たっていくそれを頭の中に思い浮かべる。  ふと、横から人影が現れた。上條かと思って顔を上げると、そこに立っていたのは、田崎、村山、大野の三人だった。  口を開いたのは田崎だ。 「おお。七久保、最近、上條と仲いいみたいじゃねえか」  いけない。ここに上條を来させては。  後ずさりする僕の退路を、村山と大野が遮り、僕は三人の間で虜になった。  こうなっては、開き直るしかない。 「僕は何でもないよ。同じクラスメイトだろ。上條にちょっかい出すのやめろよ」  言い終わる前に、田崎の拳が僕のみぞおちに入った。 「ぐっ!?」 「いいよなあ、男相手は。殴れるからよ」  それを合図に、村山と大野も僕の背中を蹴ってきた。最初は軽く。だんだんと重く、執拗に。  やめろ、と声を上げようとすると、ひときわ強い打撃が来る。上條と青世界に行くところを人に見られないように、人通りの少ない場所で待ち合わせたのが裏目に出た。  がちんと乾いた音がして、とうとう田崎の拳が僕のあごや顔に当たり出す。 「ほら、明日ちゃんと言えよ。僕はいじめられてますって、クラスや家でよ」  好きなこと言ってるなこの野郎、と繰り出した僕の拳が、田崎の頬に当たった。 「あいて。てめ……この」 「何やってるの!」  悲鳴を上げたのは、少し離れたところからこちらを見とがめている、上條だった。しまった、到着してしまった。 「よう、上條。お前が悪いよ、こんな――」 「七久保君を放して」  まるきり発言を無視されて、田崎が鼻白んだ。だめだ、挑発するな、上條。
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