オオカミの秘密

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僕は昼休みに外来のホールの2階から 柵にもたれて売店をぼんやり見るようになった。 運が良ければ買い物に来るウサギの姿が見れる。 これじゃあ、本当にストーカーだな。 ウサギはメールで、非常階段には行かない。って事と、 もう少し考える時間が欲しいって連絡してきた。 どうした、ウサギ。 僕の気持ちは迷惑だっただけだろうか? 「何をしてんの?」とリュウが声をかけて来る。柳部長(オヤジと呼ばれている)と一緒だ。 オヤジは 「仲人は絶対に俺がやるって決めてるぞ。」と僕に笑いかける。 救急外来では、僕が新人ナースと付き合ってるって、話で持ちきりだ。 「オヤジ、気が早いって。」と僕はため息をつく。 ふたりは大笑いだ。 「おっ、ウサギ」とリュウがウサギを見つけた。 売店の前で、お年寄りの患者さんに話しかけられてアタフタしている。 かわいい。 リュウがオヤジに、「あの子だよ。」と言って、オヤジが眼鏡を取り出す。 「よせって。まだ付き合ってないんだから。」と僕が振り向くと、 リュウが険しい顔をしている。 「?」
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