オオカミの巣

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菅原先生の車で、私の寮に荷物を取りに行った。 奈々さんが仕事を半日休んで、付き添ってくれた。 奈々さんは優しいお姉さんのようだ。 一緒に荷物を用意しながら、手を握ったり、 「大丈夫。もう、怖いことはないのよ。」 と言い聞かせてくれて、安心させてくれる。 ひとりっ子の私はこんなお姉さんがいたらって 何度も思ってしまう。 菅原先生の『特別』。 でも、奈々さんはリュウ先生の奥さんだ。 駅前のタワーマンションに奈々さんたちの住居がある、 先に奈々さんを送って、 菅原先生の住むマンションに行った。 菅原先生の住むマンションは駅の反対側にあって、 1番下の階がコンビニになっていて、前にはファミレスがある。 独り暮らしには便利な所だ。駅にも5分ぐらいだし。 マンションの12階の最上階の角部屋だ。 部屋のドアを開け、菅原先生は 「どうぞ。」と私の荷物を持って、案内してくれる。 2LDKのリビングは黒い家具や、紺色のカーテンでシックな印象だ。 カウンターキッチンの前に、小さなダイニングテーブル。椅子は2つ。 3人掛けのソファーの前にローテーブル。 大きな本棚や、テレビや、ステレオが置かれていて、床には車の雑誌が積んである。 男のヒトの家に入るのは初めてだったけど、 すっきり片付いている印象だ。 「どこでも好きに使っていいよ。とりあえず、ベットルームに荷物はおくから。」 と一緒に廊下にあるドアをあける。(もう一部屋は廊下の反対側にあって、物置みたいに使われている。) 6畳のくらいの部屋に窓が2方向について明るい印象だ。きっと、角部屋の特権だ。 シングルベットよりも少し大きなベットが置いてあって、 床にフロアランプがおいてある。 あとはラグが敷いてあるだけの家具のない部屋だ。 「僕は隣に布団を敷いて寝ます。」と先生は笑った。 私は顔が赤くなるけれど、先生は1週間は襲わないって、 言っていたから、大丈夫。と自分に言い聞かせて、 「…はい」と返事をした。
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