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いつもなら連絡さえ絶てば顔を合わせる機会なんて無に等しいが、今回合同捜査のせいでそれができなくなった。
通常、査察部の内偵は九ヵ月ほどかかる。特捜部のほうは知らないけれど、査察部と同様であれば、あと一年近くはこの状況が続くことになる。つまり、もし二人がこのまま仲違いや別れることになっても、嫌でも顔を合わさなければならないということだ。
とはいっても別の省庁だからこそしょっちゅう会わずに済んでいる。これが職場恋愛だと逃げ場がなくつらいだろうなと思う。
例えば波瀬と宝来のような、席も隣同士で仕事も同伴することが多い、一日中ずっと一緒にいる関係だと上手くいっている時はいいが、別れた時は最悪だろう。仕事を辞めたいとまで思いそうだ。
それを考えるとこの距離感はまだましだ。
そう思うのに、それでも水落と会わないでいるこの状態が苦しい。
自分がそうしているのだろう。着信拒否を解除して連絡すればいいだけの話だ。
男のくせにうじうじとしてばかりで、行動力のない自分にイライラする。
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