2/31
5381人が本棚に入れています
本棚に追加
/664ページ
「来週から警察との合同捜査が始まるが、初回の会議ではこの通り説明していく。水落、おまえに捜査全般の説明を頼みたいと思う」  打ち合わせのため会議室に呼ばれたのは、警察の捜査会議にて解説担当者として割りふられたメンバーだ。  予想通り、国税のほうを吉葉に多くふったので、こっちはおまえがやれと言わんばかりに大役が任される。  演説得意じゃないんだけど。いつも終わった後に失言を怒られるから面倒くさい。  失言じゃなくて事実だし、間違ったことを言った憶えもない。それを言うと、『事実かどうかじゃなく喧嘩をふっかけるような喋りをやめろ』と言われる。  じゃあもうそっちで説明担当者選べばよくない? こっちに無理やりさせるから波風立つんでしょ。 「はーい」 「間延びした返事をするな。警察はそういうだるそうな態度を最も嫌うぞ」 「軍隊ですからね」 「そうだ。そしておまえが警察嫌いだということは知っているが、それを全面に出すなよ。小馬鹿にした発言をして怒らせないように。褒めておけばいいんだ。上から目線で特捜より警察が劣るかのようなことを言うなよ」 「え、実際劣りますよね?」  つぶやくと、水落! と早速児玉に怒られる。何なの。みんな思ってることじゃん。代弁してるだけじゃん。
/664ページ

最初のコメントを投稿しよう!