リンケージ２

６

「それなりにしてくれることもあります」
「へえ、水落さんが？　そういうことするんだ？」
　あーしまった。騙された！　鎌をかけられただけなのに引っかかってしまった。
「…志賀さんは意地悪な人ですか」
「はは。ごめんごめん。そんなつもりはなかったよ。ただ水落さんって特殊な人だよね？」
　まあそうですね。特殊ですね。
「そうでしょうね」
「君と親しくしそうなタイプには、つまり気が合いそうには見えないんだけど」
「気は合わないです。むしろ水落さんと気の合う人っているんですか」
「いるでしょ。友達も結構いるみたいだし」
「友達がいるんですか」
　意外だ。じゃあ宝来は水落に負けている。あんな男でも友人がいるのなら。宝来は跡形もなく去ってしまった。近づいてくるのはゲイか下心のある男ばかりだ。
「顔の広い人だからね。政界から官僚から色々いるんじゃないの」
「それは仕事の情報収集のためでしょう」
「それもあると思うけど。学生時代から周囲に人がいたと聞いてるよ」
　水落の人気者説がここでも浮上した。それが事実ならつまり、彼は自分と同等のレベルの人間、学歴や職業が彼独自の基準を満たした者には偉そうな態度を見せないだけなのではないか。それ以下と判断した人間は見下すからその者らからは嫌われる。