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「でも当時の捜査員である水落さんに訊こうと思えば訊けるよね?」
「そうですね」
「する気がない?」
「当時以上の情報を知り得ないと思います。そもそも不起訴だったということは証拠不十分だったっていうことですし」
「水落さんが関わったのに不起訴? ああそうか。当時はまだ新入りだからそんな権限はなかっただろうね」
「だと思います」
「俺なら独自に調べ直すだろうな」
「そこまでする必要がありますか?」
「君のことを特別視しているならする」
「だから…」
特別視していません、と言おうとしてやめる。
否定したところでおそらくやりこめられる。もう検事という職種の人間に勝とうという気は起こさないことにした。
「どうしたの?」
「志賀さんには逆らわないことにしました」
そう言うと笑われる。
「そうか。じゃあ俺もこれ以上つっこんだことを言うのはやめておこうかな。水落さんに睨まれても困る」
「志賀さんでも水落さんは怖いですか?」
「怖いよ。闇の組織に抹殺されそうだから」
「それって本当に深い繋がりがあるんですか?」
「いや、冗談だよ。そんな人なら最初から近寄らない」
そうなのか。じゃあそこまで危険人物ではないということか。
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