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「水落さん。あの美人裁判官の子、恋人がいるらしくて」
いつものように張り込み明けの朝、ソファ席で寝転がっていると、まるで悩み相談のようなトーンの声がかけられた。タオルを外さなくてもわかる。吉葉だ。
え、ちょっと。俺寝てるんだけど。何普通に起こして身の上話しようとしてんの。
ていうかおまえ俺のこと嫌いなんじゃないの。そういうことするから江幡さんに仲がいいとか思われてんじゃないの。厳格な特捜部が最近部活のノリになってるのはおまえらのせいだって言われてるんだけど。
「何、おまえナンパしに行ったの」
仕方なくタオルを取って吉葉に顔を向ける。まあ他に行くなら宝来のことも諦めてくれるだろう。綺麗な男リストを順番に制覇する気になったということか。
「そういうわけじゃないですけど、噂で聞いたんです。男の恋人がいるって」
あ、そうなの。もう噂になってんの。志賀くんにしてはガードが甘いね。ま、同居や一緒に通勤してたら目立つだろうね。俺も気をつけようっと。いやまあ俺の場合同居したいって言っても断られてるから気をつけようはないけどね!
「略奪する気ねえの? おまえの得意分野じゃん」
「得意なわけじゃないですよ。失礼ですね」
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