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「王子様で思い出した。おまえ向田義春のパーティに招待されてるんだろう」 「あーはい。政治活動三十周年記念パーティとかいうやつですね」 「見張りじゃなく個人で呼ばれるなら正面切って中に入れていいな。オイシイネタも拾えるだろう」 「だったらいいですけどね。まーあんまり期待はしてないです」  大物政治家が集う場に呼ばれることもたまにある。政財界との関わりがあるとどうしてもそこから付き合いが発生するためだ。外で見張りをするより直接参加できることは確かにラッキーではあるが、だからといって摘発対象となるネタがそう簡単に転がっているわけではないから、小さな情報収集が関の山だろう。 「おまえいつもの着崩した恰好でそんな華やかな場に行くなよ。正装するんだろうな?」 「当然ですよ。いくら俺でもそれくらいの常識はありますんで。元お坊ちゃんですから」 「前にもそのお坊ちゃんの気品が正装した時に発揮されてたな。王子や貴公子に上手く化けられていた」 「え、普段から気品に溢れまくってますよ」 「じゃあその路線でいけばいいだろう」 「宝来くんはエースとプリンスどっちを求めてますかね?」  その問いかけに江幡は口角を上げると即答した。 「エースだろ」  ああ…。  まあそうだよね。それしかないもんね、俺。
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