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「つまり、僕にそれを食べて欲しかったということ?」 「そうですね。折角ですから。勿体ないですし」 「でも君が作ったわけじゃないんだから。君の手作りなら必ず食べるよ」  そういうことを言っているのではない。あと、卓実がいる前でそういうことを言うな。 「ふー。何か暑いっすね。すき焼きの熱気が部屋に充満してきたんですかね?」  そして何かを察している卓実が手でパタパタを自らを扇ぎ、恍けた嫌味を口にする。 「俺の手作りっていうか、知り合いとか親しい人の手作りは食べる、っていう言い方をしてください。誤解を生みますから」 「ああそうだね。そういうことだから卓実くん」 「はあ…。で、女性三人組の口利きって何なの奎太?」 「課長を食事に誘いたいけど勇気がないから俺に頼んできたみたいで。行きますか? 行きませんか? 返事しておくので回答をください」  たたみかけるように多月に告げると、彼は苦笑した。 「いや、君にこれ以上迷惑をかけられないから僕から返事しておくよ」 「別に構いませんよ。それくらい」 「でも今後また君経由で何らかの依頼を受けてしまうかもしれないから」 「じゃあ行かないってことですね? そう言っておきます。断られても恨まない約束になってますんで」
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