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「恨む恨まないまでの話になることが既に迷惑でしょ。だから僕が対処しておくよ」
言い切ったつもりが言い負かされてしまった。癪だが、多月のほうが対応が巧いことは否めないし、実際彼の問題なので七海はどうこう口を挟めない。
「奎太、櫂さんにまかせりゃいいじゃん。ていうか言い方がめちゃ優しい。何かもうときめくよね?」
「おまえ気持ち悪い。一人でときめいてれば?」
「だって櫂さんは男でも素敵って思っちゃう要素に溢れてるし。抱かれたいって思う男が警察にもいると思うし」
何が言いたい。さっきから何を際どいことを言ってるんだおまえは。
「そういえば宮沢さんは課長に迫られたら抱かれたいって言ってましたね」
「無理だよ」
多月は声に出して笑った。まあ、無理だということはわかっている。普通は無理だろう。
「その人イケメン? 兄貴みたいに可愛い系?」
「普通だよ。ていうか兄貴みたいに可愛いって何なんだよ。おまえ俺に喧嘩売ってんの?」
「警察で普通ってことはそこそこがっちりしてるんじゃないの?」
こっちの反発はスルーされた。弟のくせに兄の怒りはものともしない。
「そこそこがっちりしてるけど」
「そんな人にも抱かれたいって思われるの凄くない?」
何が凄いんだか。どういう意味で凄いんだか。
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