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「いや、そんな。不快とまでは。兄貴がホモっていうのはそれなりにショックだけど…まあ二人が幸せそうにしてるならいいかなって」  何がいいんだ。おまえそれでいいのか。兄貴がホモって。まあ実際なっているけど本当にそれでいいのか。  というか俺が嫌なんだけど。ホモは事実だけど。紛れもない事実だけど。世の中には秘しておきたい事実もあるわけで。それが男の恋人がいるってことで。それを弟に知られたくないって思うのは当然だと思うんだけど。違う? 隠しておきたいって思うのが当然じゃんか。  だからそれを察しても黙っておけよ馬鹿! 「ねえ、じゃあ七海くんは幸せなの?」  そして便乗してどうする! あなたは否定するとかフォローするとかしてくれませんかね! 「…待って。まず待って。色々整理させて。何、おまえは俺が既に課長に抱かれてるって思ってんの?」 「抱くのは無理かなって。だってその宮沢さんっていう人でさえ抱かれたい側なんでしょ?」 「宮沢さんの性癖と俺は関係ないから!」 「宮沢さんってホモなの?」 「違うけど」 「ってことはノーマルな人でも揺らぐってことでしょ? 櫂さんなら抱かれたいって思うんでしょ? じゃあ兄貴はもっと思うよね? これだけ大事にされて常に優しくされて職場の女より令嬢より君の手作りが食べたいよって微笑まれたら、もう絶対に抱かれたいって思うよね?」  手作りを食べられるのと抱かれたいは全然別物だからな馬鹿野郎!
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