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こたつの向こう側に圭くんの顔が湯気越しに見える。
小さい頃もよく一緒に食べたっけ?
でも二人きりでご飯とかってあまりなかったなぁ。
そんな事を意識しだすとこの展開になんだか落ち着かなくて…
ただ、ただ黙々と二人で食べた。
ほとんどは圭くんが沢山食べてくれたから用意した食材が無駄にならなくて助かったよ。
それに圭くんが持ってきた白ワインが口当たりも良くてお鍋にもよく合う。
お酒も入ると徐々に会話も増えて二人して昔話で盛り上がったりで…つい私も圭くんもちょっと飲み過ぎちゃったんだ…
「まや…」
すっかりお鍋とワインで体がぬくもった圭くんは、赤い顔でこたつから飛び出してリビングの床に大の字になっていた。
片付けを済ませた私がリビングにやってくると圭くんに呼ばれた。
「なに?お水持ってこようか?」
と寝転がる圭くんの顔をのぞきこむ。
すると
「まや…、なぁ、マジのちゅうちゅうごっこしねぇ?」
圭くんが言った。
「えっ…」って言う前に体を引き寄せられ反転したかと思えばあっという間に圭くんに覆い被されていた。
「圭く……んっ」
私の両腕を床に押し付け圭くんが本気のキスをしてきた。
抵抗しようにも体が動かない。
圭くんの舌が性急に私の唇を押し広げ、直ぐに私の舌と絡み合う。
「んっ……や、……」
こんな本気のキスはこれまで一度もした事がなかった。
あれは、私と圭くんだけの秘密。
小さい頃から二人だけで続けてきたごっこ遊び。
だから…そこにラブはない…はずなのに。
私も圭くんもお互いに大切に思える相手が出来たというのに…こんなの駄目だよ。
だって、そうでしょ?
私達はーーー
「私たち、幼馴染みでしょ!」
一瞬、息継ぎで唇が解放された時、やっとの事で声を出した。
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