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大人になったまやを見てもいつだってこいつ昔とちっとも変わんねぇなって思ってたけど…
実際、変わってねぇの俺だわ。
俺の心、ガキの頃から成長してねぇし。
けれど、全部を否定するつもりはない。
まやを好きだと思っていたのは事実。
そして、今もまやを大切に思うのも事実。
それは幼馴染みとして。
まやんちの客間に並べられた二組の布団。
それぞれ潜り込みどちらかともなく手を伸ばした。
遠いようでそんなに遠くない昔にそうしていたように。
懐かしく思えるまやの手の温もりがじわりと伝わってくる。
俺達がまだ子供だった頃と同じだ。
きっと、今の俺達がこうして眠るだけでもとてもいけない事なんだろう。
だけど、今日くらいはいいだろ?
ふと窓の外にぽっかりと浮かぶ月を見る。
「内緒だかんな。」
うっかり声に出してしまった。
慌ててまやの方を見る。けれどまやは既に半分夢の中で気付いていないようだ。
隣で呑気な顔してうとうと眠りに落ちる幼馴染み。
「変わんねぇな。」
窓の外の月にまた目をやる。
月だけが知っている俺とまやの秘密。
俺はーーー
既に寝落ちたまやにそっと口付けた。
これで本当に終わり。
終わり…なんだな。
月に照らされながら俺も漸く瞼を閉じる。
まやが一瞬、笑った事に気付くことなく俺はあっという間に眠りについた。
【圭くんと私】
終
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