君だけ見えれば、それでいい。

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「他の人には、青い色しか見えない俺って、ハンデを抱えているように感じるかもしれない。だけど俺はこれまでの人生、一度たりとも自分の見えてる世界がハンデだと思ったことはない。他の色が見えない分、青い色だけ、宝石みたいにきらきら輝いて見えるんだ。すごく綺麗だから、俺の目を通してこの世界を他のみんなにも見せてあげたいくらい」  優馬はすっと腕を伸ばし、壊れ物でも扱うような手つきで私の頬に触れた。 「俺は今までも、これからも、青(アオ)だけ見えれば、それでいい。それじゃ、ダメなのかな?」  熱いものが身体の芯から突き上げてきて、目の奥がつんと痛くなった。何か言おうとして口を開いたけれど、何ひとつ言葉にならなかった。  私は優馬の胸にしがみつき、わっと声を上げて泣いた。優馬は私の背中に腕を回し、ぎゅっと力強く抱きしめる。  顔を上げると、優馬の肩越しに澄み渡った秋の空が見えた。そのとき目に映った空は、今まで見たどの空よりも、青かった。 【完】
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