君だけ見えれば、それでいい。

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 高校一年生の秋。私に人生で初めての彼氏ができた。  相手は同じクラスの優馬。  大きな黒目が特徴の整った顔に、モデルのようにすらっと長い足。成績は常にトップクラスで、スポーツ万能。それに加えて性格も明るくて優しく、学校の人気者だ。  そんな女子なら誰もがうらやむ、少女漫画に出てくるような彼氏だけど、ひとつだけものすごく変わっているところがある。  スマホに、財布に、ペンケースに、お弁当箱……  持ち物のほぼすべてが青色なのだ。  この王子様のような人が、特に可愛くもなく、これといった特技も個性もない私を選んだ理由……  それは私の名前が、〝あおい〟だからなのかもしれない。本気でそう思ってしまうほど、彼は〝青〟が大好きだった。
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