君だけ見えれば、それでいい。

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 自分で『本当のことを話せ』と言っておきながら、その先の言葉を聞くのが急に怖くなった。  耳をふさぎたくなる気持ちをこらえながら、私はまっすぐ優馬を見上げる。優馬はぐっと拳を握り、大きく息を吸った。 「実は俺、両親から手術を受けるように言われてるんだ」 「手術……?」  優馬の口から発せられた思いがけない言葉に、一瞬、きょとんとする。 「なんで? 優馬、どこか悪いの?」 「まぁ……うん。ちょっと、目がね……」 「目……?」 「実は俺、青い色以外、ちゃんと見えてないんだ」 「えっ……」  心臓がドクッと音を立てて脈打った。吸い込んだ息が吐き出せなくなった。
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