プロローグ (テイル1)

1/10
45人が本棚に入れています
本棚に追加
/516ページ

プロローグ (テイル1)

「どうも。美杉長政(みすぎながまさ)です」 「一枚公平(ひとひらこうへい)です」  着座と同時に挨拶をした。  それから……どうするんだ。何を話すべきか。面接する側になっている。こんな機会は初めてだ。  何も気後れする必要はない。決めていたとおりに進めればいいのだ。長政は内心で決めた。 「使ってますか?」 「ええ、使っています」  長政が自分の瞳を指差しながら問うと、特に首を傾げるでもなく、すぐに反応があった。コンタクトのアイシステムをつけている、ということだ。  視線を合わせて、空間を共有する。すぐに反応があり、一枚公平と線で繋がった。お互いの体の部位の、一番近い箇所同士で繋がっている。その線は、見えているだけで、実体はない。  空間をディスプレイ代わりにし、自分の名前を横に映し出した。空間を共有しているので、相手にも見えているはずだ。  すぐに、一枚公平も同じように名前を映し出した。ふりがなもついている。  『一枚』と書いて、ひとひら、と読むのか。『公平』は読める。  一枚公平は、上着を脱いだサラリーマンの服装だった。実際、そうなのだろう。歳上だ、とだけ長政は思った。 「ご職業は?」     
/516ページ

最初のコメントを投稿しよう!