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プロローグ (テイル1)
「どうも。美杉長政です」
「一枚公平です」
着座と同時に挨拶をした。
それから……どうするんだ。何を話すべきか。面接する側になっている。こんな機会は初めてだ。
何も気後れする必要はない。決めていたとおりに進めればいいのだ。長政は内心で決めた。
「使ってますか?」
「ええ、使っています」
長政が自分の瞳を指差しながら問うと、特に首を傾げるでもなく、すぐに反応があった。コンタクトのアイシステムをつけている、ということだ。
視線を合わせて、空間を共有する。すぐに反応があり、一枚公平と線で繋がった。お互いの体の部位の、一番近い箇所同士で繋がっている。その線は、見えているだけで、実体はない。
空間をディスプレイ代わりにし、自分の名前を横に映し出した。空間を共有しているので、相手にも見えているはずだ。
すぐに、一枚公平も同じように名前を映し出した。ふりがなもついている。
『一枚』と書いて、ひとひら、と読むのか。『公平』は読める。
一枚公平は、上着を脱いだサラリーマンの服装だった。実際、そうなのだろう。歳上だ、とだけ長政は思った。
「ご職業は?」
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