0人が本棚に入れています
本棚に追加
男子の顔を見ずに教師に答えたのだが、彼は気も留めず私の手を掴んで引き留めた。
「ふらふらしてる。付き添うよ」
「いい。大丈夫です。一人で行けます」
彼を見るとますます血の臭いが増して気分が悪くなっていくのだ。何よりまだ苛烈な感情を秘めたままの瞳をしているだろう私を見られたくなかった。
はっきりと拒否の意思を示して掴まれた腕を振り払い、回る視界と闘いながら廊下を進む。眩暈が酷い。吸う息が全て血生臭く感じる。まっすぐ立っているのも辛くなって、ついには壁に手をついた。そのまま壁にもたれながら膝をつき、迫る床を感じる前に意識が遠のいた。
最初のコメントを投稿しよう!