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2 有り得ない出会い
目を覚ますと、空にうっすらとお日様が昇っているのが見えました。チェリィは慌てて起き上がり、自分の状況を確認します。
あの時黒いなにかに吸い込まれてジミーと離れ離れになってしまったはずでした。
けれどチェリィが目を覚ましたのは、あのお花畑の中だったのです。
「なにがあったの?」
チェリィは困惑しました。あれは夢だったのでしょうか。
「ジミー?」
辺りを見渡しながらジミーの名を呼びました。
確かに一緒にここまできたのに、どこにも彼の姿はありません。
一人で帰ってしまったのでしょうか。いいえ、ジミーがそんな薄情なことをするわけがありません。
ではなぜここにいないのか。
チェリィはとても心細くなりました。どうしてこんな肝心な時にいないのでしょう。
それにこの場所、昨夜とはなにか様子が違います。
鮮やかに咲き誇っていた花達は元気がなく、ほとんどしおれてしまっているのです。
あの美しかった女神の木は輝きを失い、静かにたたずむその姿はとても不気味に見えました。
「なによぉ、どうなっているのよ」
思わず不安の声が零れ落ちました。けれどきゅっと拳を握って自分に言い聞かせます。
「もう子供じゃないもん、一人ぼっちだって平気だもん」
いつまでもここでぼやぼやしているわけにもいかず、チェリィは自身を奮い立てながら村へ戻る為に歩き出しました。
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