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そんなぼっち系男子の彼ですがなぜか女の子達からは人気が高いようです。
「どこがいいのよ!」
「クールなところがいいじゃない」
そう指摘されてチェリィはますます訳が分からなくなりました。
レインは本当にクールなどというカッコよさ気な称号を持っているのだろうかと、激しく疑問に思いました。
「よくチェリィちゃんの家に出入りしてるでしょ」
「そりゃお母さんの弟子だからね。あたしとは全然仲良くないけど」
「そうなの?」
「あいつあたしのこと馬鹿にするのよ、不愉快なのよ!」
日頃のレインの態度を思い出してチェリィはぷんすかします。チェリィにとってはただ性格が悪いだけの少年でしかないのです。
「でもカッコいいでしょ」
「それとこれとは別問題なの」
チェリィはムキになって言いました。
容姿うんぬんについてはチェリィも認めておりますが、彼の場合は内面の悪さが表情に出ているのでとても鼻持ちならない印象です。
チェリィは誰もがそうであるように、顔立ちも性格も優しい人に好感を覚えます。その点を考えるとチェリィの身近な人で一番それに当てはまるのはジミーです。
彼のように笑顔が優しい人に親しみを感じるので、普段から仏頂面をしているレインは全くの好みではありませんでした。
「あ!」
大切なことを思い出してチェリィは立ち上がりました。
「ごめんなさい、あたしジミーとの約束があったのを忘れてたわ! じゃあまたね!」
紅茶を飲みほしてから慌てて走って行くチェリィの姿に、女の子達の話題は「あの子ジミー君と仲がいいわねやっぱり付き合っているのかしら?」というものへ変化しました。
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