苦手なモノ。

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透けて…透けて… トオルの姿が ほとんど見えなくなる寸前だった。 フワッとあったかいものが トオルを包んだ。 「カ…オル?」 カオルがトオルを抱きしめている。 トオルがカオルにしたように。 「僕も…同じだよ。 ずっと寂しいって思ってた。だから…」 一人で悲しまないで…… その時、トオルの体が光り… 消えかけていた色が 完全に戻った。 冷たいのを 必死にこらえていたカオルは、 初めてトオルの温かさを感じた。 「ありがとう…」 消え入るような声で トオルは言った。 トオル――雫って、 本当はこんなに気持ちが 表れてるんだね。 顔や言葉で言わなくても、 すぐに分かるんだもん。 カオル――私、 ずっと他の生き物は 私みたいに寂しいなんて 気持ちがないんだと思ってた。 カオル…ありがとう。 もう、大丈夫。 カオルは友達と遊べるよ。 「…!?」 え…? どういうこと?  
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