苦手なモノ。

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気付けば水は消えていて、 カオルの目の前には、 優しく微笑む雫の女の子。 トオルの言っている意味が分からないままカオルはしばらく固まった。 そんなカオルを気にせず トオルは続ける。 「あとは勇気だけだね」 「…何が?」 聞いたカオルに トオルは逆に聞き返した。 「カオルはどうして外に出ないの?」 「へ? えっと…怖いんだ」 「何が怖いの?」 「うーんと…人と話すこと…かな」 するとトオルは意外そうな顔をした。 「え~? さっき私にあんなに喋ったのに?」 カオルはさっきのことを思い出したのか、顔を赤くした。 「それはきっと、 『怖い』んじゃなくて 『苦手』って言うんじゃない?」 初めて知った。 自分の苦手なモノ。 何だかトオルに いっぱい教えてもらった。  
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