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彰と俺は幼馴染みでずっと一緒だった。
一緒に音楽教室に通い、一緒にピアノを習い。
「女の子みたい」という奴もいたけど。
アニメの曲を耳コピしてピアノで連弾したりすると、周囲は「凄い!」と拍手喝采。
一緒に作曲の真似事みたいな事をしたりもしていた。
そして。
この春から、俺達は一緒に付属高校を経て大学の音楽学部、作曲科に進んだ。
本当に腐れ縁だよな、とお互いに笑い合って。
「一緒に進んだ」が、分かっている。
ここからは個性が問われる世界。
独自の感性を生かし、音を紡ぎ出して行く。
他人には無いメロディーを奏でる。
俺達は拳をぶつけ合って誓った。
「なんでも一緒に」の関係にはさようならだ。
これからは、それぞれ自分の世界を模索しようと。
学ぶ時には協力しあい、コンテストではライバルとして競う。
今まで並んで続いていたラインが、色々なの曲線を描き、交差したり平行したり、複雑な動きへと変わって行く。
目指す物は「独創性」と、一緒でありながら、アプローチは全く別の方法になる。
俺達の前には無限の音楽の世界が広がっているのだから…!
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