【第一章】王道くんがやってきたよ!

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【第一章】王道くんがやってきたよ!

『キャーッ! 郁人(ふみと)さま素敵ー!』 『今日もカッコイイですー』 『ああ、僕を抱いて下さいっ』 寮から校舎へ向かう途中、毎朝チワワちゃん達のこんな声が聞こえて来る。 自分ではよく分かんないけど、俺って格好良く見えるみたい。 髪の色素が生まれつき薄くて、かなり明るい茶髪(光が当たると金髪に見えるくらい)な上、自然に緩いパーマをかけたみたいになってる。 前髪が欝陶しいからヘアピンで上にあげてることが多いんだけど。あ、たまにカチューシャも使うよ。便利だよね、あれ。 でもあれ使うと、黄色い声が普段より大きくなるのが謎。んー? ちなみに身長は176センチ。あと4センチ欲しいっ。 ……まだ高二だし、伸びるよね? あらためまして、俺の名前は “千賀 郁人”(センガフミト) 一見チャラ男っぽいけど、中身は普通の腐男子だからね。ただのBL好きなノンケだから。 全寮制の男子校には居ても、観察するのが好きなだけで、俺は女の子としか交際しない主義です。 さっき「抱いて下さい」って言った人、ごめんね。 あ、でも女の子みたいに可愛い男の子なら抱きしめたいかも。  ギュウウウ ついつい、一緒に隣を歩いていた可愛い少年をハグしてみる。 途端に物凄い悲鳴が周囲から聞こえてきた……のは気にしない。 「優ちゃん、今日も可愛いね♪」 「あ、ありがとうございます郁人様」 照れたように微笑む優ちゃんを見て、周囲からはまた別の声が聞こえてくる。 『やべ、竹元くん可愛過ぎ』 『くっそ抱きてぇ』 『お、俺ちょっとトイレ』 顔を真っ赤にして前屈みになる人達。 さすが俺の優ちゃん、小悪魔さんだね! 周囲の反応にホクホクしてたら、俺にしか聞こえない声でボソッと。 「今、抱きてぇつった奴……殺す」 うん。小悪魔から「小」が取れました。 優ちゃん、今日も怖いです。 俺が今ハグしている美少年こと、優ちゃんの本名は “竹元 優馬”(タケモトユウマ) 実は小学校からの幼馴染みで、一応、俺の親衛隊隊長さんです。 女の子みたいって言うか、むしろ女の子より可愛い外見に反して、性格とか超男前! 身長は164センチと小柄なのに、子供の頃から道場通ってて黒帯持ちさんなんだよ。凄いね。 .
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