【第一章】王道くんがやってきたよ!

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親衛隊のチワワちゃん達全員と俺がセフレ関係だとか。 ありえないしー。だって俺ノンケだもん。 否定しても良いんだけど、優ちゃんが「噂通りのフリをしとけ」って。 何か、その方が都合良いんだって。よく分かんないけど。 「それに先程のは、この学園に来たばかりの転入生に対する、仮にも生徒会会長の態度や発言とは思えませんね」 「転入? なるほど、こいつがそうなのか」 「……」 おお、今一瞬ニヤリッて笑いましたよ。 何だか良い流れですなぁ。滝沢副会長さんありがとう! でもって王道(仮)くんはやっぱり王道くんだったんだッ。 「ふん、そうか。おいキモネクラ転入生、お前の名前は?」 「キモネ……!? か、勝手に変なあだ名で呼ぶなよ! それに、人の名前が知りたきゃ、先に自分から名乗るのが礼儀だろっ」 「ハッ、お前のような奴に何故わざわざ名乗る必要がある。オラ、さっさと言え」 「いい加減にして下さい、飛鳥!」 突然、滝沢副会長が転入生の腕を引っ張り、自分の背後に隠した。 ――隠した? え、なに今の。滝沢副会長が転入生を、橘会長から守ったんだよね? ちょっ、ま、待ってこれマジで『生BL』しかも『王道』!? 凄いよ王道くん、君って奴は既に あんなこと 【王道パターン1】  転入初日に案内役として出迎えてくれた副会長の作り笑いを「うそ臭い笑いは止めろよ!」と指摘する。 や、こんなこと 【王道パターン2】  完璧な筈の仮面を見破られた腹黒副会長に「へえ、気に入ったよ」と無理矢理キスされる。 を、副会長としちゃってたんだね!? 俺も、是非とも一目その腐イベントが見たかったです。うはああぁ……。 「チッ」 橘会長が舌打ちをした。かと思えば、無言のまま歩き出す。 あ、あれ? 俺様会長なのに大人しく行っちゃうんだ。 もっと強引に「瑞穂が庇うとは面白ぇ、気に入ったぜ」とか言って王道くんにキスしちゃったりしないんですか。えぇー。 ……ハッ! 王道と言ったら食堂イベント。 なるほど、それまでお楽しみは取っとく訳ですね。了解です。 ふっふっふ♪ お昼の時間を楽しみにしてますーっ(敬礼) ――――。 って、何これ。 ちょびっと腐な妄想に耽まくってて今気付いたんだけど。何かね、周り中、皆がめちゃくちゃ俺の方を見てるような。 .
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