あの日の青さ。

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「ねえ、どうして世界は丸いのかな」  大学の講義をサボって、待ち合わせ場所の喫茶店でメニューを眺めていたら女性に声をかけられる。 「知らねーよ、知りたきゃ歴史と科学と物理あたりを勉強しなおせ」 「そこまで専門的に知りたいわけじゃなんだけど」  ブスッとしながら返答するその人は、俺の彼女である。  黒髪ショートでスタイルも付き合う前に比べて良くなったように思える。  出会うきっかけは入学してすぐだった。  グループワークを行う授業で、お互いぼっちだったのを教授が見かね、俺たちをペアにしたのであった。  そこから履修が大体かぶっていることが分かったため、授業のたびに付き合いはどんどん深くなり、出会って半年後に俺から告白したのである。  今は大学3年生の梅雨入りしたばかりなので大体2年いかないぐらいは付き合っていることになる。  ゆくゆくは就職して安定してきたら結婚もしたいと考えている。  もちろん本人には言ってないし、入学以来なんとか出来た数少ない友人にも相談すらできていない。  まあ、自分が決めればいいことだし、彼女の気が変わらないともいえない。もしそうなってしまったらさすがに心が折れるが。
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