青い夢

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あと10分で遅刻だ。腕時計を見てわたしは気づいた。バイト先は店の制服に着替えてからタイムカードをガチャンとやる決まりになっている。店にはもうすぐ着くけれど着替えてガチャンがあと10分でできるかは微妙。 なんでわたしはいつも時間に余裕をもって行動できないんだろう。あと5分はやく大学を出ていればよかった。タイムカードの打刻が1秒でも過ぎると給料の換算は30分単位だから、30分ただ働きをすることになってしまう。先月の給料明細を思い出し、わたしは焦った。 横断歩道の前に、何人か待っているけれど、見ると信号はもう青になっている。急いで渡ろう。わたしは全速力で交差点を突っ走る。あれ?車が突っ込んでくる!!なんで? 目の前の信号をもう一度見る。わたしが見た青い光のもとは「病気ゼロ」という薬局の青い看板。そのすぐ下に歩行者用の赤い信号が。あの青い看板、、。どこかで見た色と似てる。あ、夢の女の子の瞳の色! そう気づいたとき誰かの、耳をつんざくような悲鳴が夕暮れ時の街に鳴り響いた。
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