青い夢

1/8
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ

青い夢

朝起きると、クーラーが効きすぎたのかブルっと寒かった。リモコンでスイッチをオフにする。ベットから起きだし、冷蔵庫から牛乳を出してグラスに注ぐ。また青い夢を見てしまった。最近よく見るこの夢をわたしは、青い夢と名付けている。 よく見るこの夢、青い夢。モノトーンの世界の中で、ある一つのものだけが青い。いや、夢がモノトーンだったのか、よくわからない。夢から覚めた時、その印象的な青だけが瞼に残っていて、他のものに色がついていたのかよく覚えていない。 ただ一つの青いもの。それは女の子の瞳の色。日本人の女の子なのに、瞳の色が異様に青い。光を放っているかの如く青く輝いている。わたしは夢の中でその子と仲良しで、いつでも一緒にいる。とっても仲良しと周りから思われている。 彼女は圧倒されるほど美しい少女だ。繊細なつくりの顔立ち。華奢な肩のライン。前髪を結い上げた髪型で陶器のようにつるりとした額をすっきりと見せている。大きな瞳の上に美しく弓を描いた眉。射貫くような眼もとでじっと見つめられるとその魅力にぼうっとする。他のことはあまり思い出せないのに、彼女の顔立ちは細部までくっきりと脳裏に焼き付いている。 でも実のことを言うと、夢の中でわたしはその子のことがあまり好きではない。なんというか怖い。はっきり言って嫌いだ。異様に青い瞳が気味悪いと周りの子供からも遠巻きに嫌われている。でもわたしだけは彼女と遊んでいる。いつも遊んでいるのに彼女はわたしにも冷たい態度だ。わたしだって怖くて逆らえないから一緒にいるだけで、決して好きではない。嫌いだと思っている人と仲の良いふりをしている。 だから目覚めたとき後味が悪い。なんだか悪いことを夢の中でしていたような、潜在的に嘘つきの人間のような気がして後ろめたい。なんであの子の夢ばかり見るんだろう。目覚めてみると嫌な感じは残っているものの、具体的な内容は思い出せない。                               
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!