青い夢

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アコちゃんはすらりと長身で、連れ立って歩くと160㎝ないわたしは何だか見下されているように感じる。アコちゃんは背の高さを恐縮するかのように背中を丸くする。決して威張らない、控えめな性格だ。口が立ち、うるさく干渉するようなタイプなら仲良くはできなかった。 ぼんやり窓の外を眺める彼女の素朴な鼻のラインをそっと見る。夢の中の少女のヒヤリと冷たい雰囲気に対し、アコちゃんはのっそりとぬくい。 交友関係の広いわたしと違って、アコちゃんは人見知りで友達が少ない。一年の終わりごろからわたしがいろんな場所に引っ張り出すようになり、わたしを介して大学デビューをしたような彼女。でも最近はしっかり者のアコちゃんとお世話してもらっているダメなわたしというイメージが定着しつつある。事情があり、バイトで忙しいわたしは最近ほんとうに彼女なしではいられない。何故親切にしてくれるのかよくわからないけれどありがたい。 背の高い彼女を見上げながら、とりとめのない話を交わし、ふたり並んで大学までの道を歩いた。朝の商店街も少しずつ起きだし、ガラガラとシャッターを上げる音があちこちで響き、ネットで覆ったごみ袋をつついていたカラスも人の気配にバタバタと飛び立つ。今日はちゃんと一限から出席できそうだ、安堵とともに昨夜の疲れから、また眠気が襲い大きなあくびをしてしまった。
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