青い夢

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「これから配るプリントをちゃんと理解出来たら、次回のテストの半分は得点できるはずですよ。」 教授の声に、教室中が急に目覚めたようにざわめきだす。いつから降り出したのか外はザーザーぶりの雨。教授が窓際の席の一番前の学生にプリントを配り始めたのが、教室の最後列にいるわたしにも見える。学生たちは自分の分を一部とって後ろの席へプリントを回している。 「今日来てよかったー」という歓喜の声があちこちであがる。わたしも今日来ていない友達にプリントをコピーしてあげようと思う。こうした助け合いは大学生には常識だ。たまにはわたしも感謝されたい。誰が来ていないか名前をノートに書きだして、うずうずして待っているのに、なかなか前の席の人からプリントがまわってこない。 教授はとっくに教室を出て行ってしまった。周りの学生もガヤガヤと席を立っていく。さすがに遅い。「すみません」と前の席の女子学生の肩をたたいた。 振り向いた美しい顔を見て、アッと声を出してしまった。「れいこちゃん」その青い目が、わたしが後ろに座っていたことを前から知っている。 「プリントは?」 「あなたは必要ないでしょう」そう言い、席を立とうとする彼女に殺意を感じる。れいこちゃんって名前だった。夢の中では思い出す。夢の中?あれ?これ夢なのか。
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