1人が本棚に入れています
本棚に追加
目覚めると授業も終わっていた。外では本当に雨が降り出している。湿気で窓ガラスが白く煙っている。
「あれ?プリントは?」
「寝ぼけてるな~」アコちゃんが隣の席でくすくす笑っている。
「お前、一番後ろの席だからってそこ寝る場所じゃないんだぞ。」前の席に座っていたのはサークルの先輩。彼はこの教科を去年落として今年は再履修。他人事ではないと親近感の持てる先輩だ。
再履組とはいえ、去年を経験しているのでわたしたちにとっては非常に頼りになる人だ。夢の中でテストに直結するプリントを配られた話をすると
「あ、でも確かにそんなようなこと去年もあったぞ。お前すごいな。オレ、そのプリントちゃんとやらなかったんだよね、甘く見てたから。」遠い目をする先輩。アコちゃんはまだくすくす笑っている。
なんとなく教室に青い目の少女がいそうな気がして、周りを見渡してしまう。あの子、もっと幼いのかと思っていた。夢の中のわたしはまだ小学生だったような気がする。同じ年かさのあの子。わたしが大きくなるとあの子も大きくなるんだなと、妙に納得する。
あの子はプリントをもらったから次のテストは楽勝だな、と考えてちょっと混乱する。いやあれは夢の中のことだから。あの子はこの世界にいない。わたしの頭の中にいるだけなのに、現実の世界でまでなぜ心を乱されるのか。あの子は何なんだろう。あんな青い目をして。いったい誰だ?
最初のコメントを投稿しよう!