青い夢

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ザーザーぶりの雨は夕方には上がっていた。わたしは夢の中の青い目が気になって仕方がない。夢というものはそもそも色がついていないんじゃないか、と思う。今まで考えたこともなかった。今までに何度も夢は見てきているが、モノクロだったかカラーだったか意識したことはない。でもこうして青だけがわかるような夢を見ると、今までの夢はずっと色がなかったのだと思う。 子供のころはよく高いところから落っこちる夢を見た。地上からはるかに高い不安定な場所に立っていて、ここからどうやって降りようかと考えているうちに、いつだってフッと落ちてしまうのだ。空間を落ちながら、子供ながらに落ちたら死ぬのかな?とか考えている。でも地面に着く時に、きゅっと足を踏ん張ってドーンとなって目が覚める。 「それは背が伸びる朝に見る夢なのよ。そういう時背が伸びているものなのよ。」嬉しそうに教えてくれた母の顔を思い出す。その母も数年前に他界した。大学の授業料は母にかけていた保険がおりたから、そのお金で払っていると父から聞いた。 父とは半ば喧嘩状態で郷里を出てきた。授業料以外いりませんから。と生意気を言って飛び出したが、家賃や光熱費だけでアルバイト料はすぐになくなる。一年の時は緊張からか何とかやってこられたが、今年になってさすがに疲れがたまってきた。今日も夜間のバイトに向かうので授業のあと図書館で仮眠をとっているうちに夕方になってしまった。
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