青い夢

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傘を持っていなかったので、雨があがったのは助かった。バイト先は大学の最寄りの駅前で、アパートからも近い大衆居酒屋だった。そのお店で働くようになって三か月ほどたつ。だいぶ仕事も覚えてきた。今日のシフトは何時からだったかな、ワイワイと騒がしい学生の群れに紛れながら、蒸し暑い夕暮れの商店街を歩く。もう九月も終わりだというのに今年の夏はまだ暑い。 「あそこの交差点、事故が多いんだって」 道を行く知らない学生の話が耳に入ってくる。 「へえ、あんなところで?不思議だね」 「信号無視の歩行者が何人もクルマに轢かれたらしいよ。あの薬局の看板が紛らわしいんだよね」 「薬局ってあの交差点の向こう側の?」 「そう。ピカピカ光るあの看板。病気ゼロってあるでしょ?」 「あーあれ、確かに紛らわしいわー」 笑いあう学生たち。
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