le sacrifice ultime

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一日(いちじつ)の未来より来たりし者?なに!?) 『血を継ぐ者、身を捧げし時、一日(いちじつ)の未来より来たりし者より祝福を受け、世界を救う』 ネガポジ反転した空間が広がると、二人の中間に人型の光体が現れ、術士へと近づいていく。 「Luksa、よ…よかった。本当に、来た」 光体が術士に覆いかぶさる。 術士の身体と重なった光体はそのまま実体化し、失った両腕両脚を元に戻し、魔力も全快した。 ネガポジ反転した空間が解除されると、術士の背中に、棺桶(オドウグバコ)が出現した。 「御誂え向きだな。キース、在るべき場所へ還れ!」 「……あなたのその眼。そういうこと…ね」 術士の眼が蒼く輝く。 プリマ、ドンナそしてLuksa。 いずれも自分が発動した術というより、精霊を介して発動した術。つまり術士が使ったのは召喚術である。ただし召喚術には制約があり、誰でも使えるわけではない。 「召喚士」 『血を継ぐ者その身を捧げし時、守護者現れ奇跡を起こす』 術士は棺桶(オドウグバコ)を降ろし蓋を開ける。中から黄金に輝く神具(ホッチキスの針取り)を取り出し前に立て、印を結ぶ。 「神具・ヴァンパイアスイーパー」 ヴァンパイアの魔力を封じる神具(ホッチキスの針取り)・ヴァンパイアスイーパー。棺桶(オドウグバコ)に入っている神具を扱えるのは『文具を統べる者』のみと言われている。 (……くっ!) 「(オン)!!」 念を込たその瞬間、キースの全身が眩い光に覆われ次第に姿が透けはじめた。 (この星は貴方たち人間を受け入れてくれるかしらね?必ず戻ってくるわ) 「浄!!」 術士の声とともにキースの邪悪な気配が消えた。 最後は『黄金(ホッチキス)牙』となり、棺桶(オドウグバコ)へ封じられた。 そして、キースに噛み付かれた民たちも正気を取り戻したのだった。 「さようなら……キース」
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